Hearing Xとは
タイトルに込めたのは、「Hearing=聞くこと」に何かを掛ける(×)ことで、これまで見ることができなかった新たな地平をひらきたい、という思いです。
そもそも、聞くという行為は、それだけが独立して存在しているわけではありません。突然、大きな爆発音がしたら、とっさに耳をふさいだり、身をかがめたりするように、聞くことは人間が生きていくことと密接に結びついています。獲物を獲ったり、外敵から逃げたりする際も、音は重要な手がかかりになります。つまり、聞くことは、見たり触ったりすることと同様に、人間が動くために必要な感覚であり、わたしたちのさまざまな行為を支えているのです。
あるいは、音楽を聴いて感動したり、癒されたりすることもあるでしょう。逆に騒音を不快に感じたり、耐えがたいと感じたりすることもあります。音は人のこころの状態にも大きく作用します。しかも、感じ方は人それぞれ。それはなぜなのか。聴覚や音にまつわる疑問は、それこそ無数にあります。
このサイトでは、聴覚研究の最先端のトピックから、研究者のあいだではあたり前のことであっても、一般にはあまり知られていない興味深い話、さらには音楽にまつわるよもやま話まで、聞くことに関するさまざまな話題を、音のデモンストレーションを交えながら取り上げます。
聴覚研究の専門的な話だけでなく、日常の営みにかかわる身近な事柄にまで話題を広げ、聞くことの森羅万象を語る場とすることで、聴覚と不可分である脳やからだの本質を探ることが本サイトのねらいです。
Makio KASHINO